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学びの場レポート_新選組ゆかりの寺院 壬生寺で3D-CAD実技&アプリ操作体験講座

学びの場レポート

イベント名
開催日
新選組ゆかりの壬生寺で3D-CAD実技&アプリ操作体験講座
2022/11/21(月)

※令和6年3月21日より「京デジぷらっと」は「KYO育tv.」へと名称変更を行いました。

伝統建築をリバースエンジニアリング!
壬生寺での3D-CAD実技&アプリ操作体験

3Dで設計図面を起こすことができる3DCAD。
3DCADというと、機械加工やプラントなどの現場で使用されるもの、と思われがちですが、実は使い方次第では広い分野で役立てることができます。その一例を体感できる講座として京デジぷらっとが企画したのは、京都市中京区壬生梛ノ宮町にある、新選組ゆかりの寺院である壬生寺の本堂を3Dモデル化することです。講師に3Dスキャニングによるデータ活用ソリューションを提供する、京都市伏見区のシュルード設計の皆さんをお招きして、実際に堂内の撮影からデータの3D化までを、見て・操作して体感する講座を開講いたしました。

 

午前の課題:伝統建築をレーザースキャナーで撮影しよう

2022年11月21日。壬生寺の堂内に集まったのは、10名の体験者の皆さん。
体験に先立ってまずは壬生寺の貫主、松浦 俊昭さんよりお話をいただきます。実はこの本堂、一般公開されるのは年にわずか7日ほど。普段は入ることのできない本堂で、お寺の縁起や建築についてのお話を聞く貴重な機会に恵まれました。

お話の後は「レーザースキャナー」を用いて、本堂内を撮影していきます。これは照射したレーザーで対象物の空間位置や情報を把握するもので、完全な内観を撮るために本堂の4隅から角度を変えて撮影していきます。

この時にスタッフはレーザースキャナーの原理だけでなく、3D化するために、どのような角度からの撮影が必要か、レーザーが苦手な反射したり透過するものはどう撮れば良いかというようなテクニックも紹介しながら、レクチャーを進めていきます。

午後の課題:撮影したデータを3Dの形状に加工してみよう!

撮影を終えた午後は、いよいよ本堂を3D化する体験へ。

壬生寺内の会場には、3D化に必要な「Clear points」、「IRONCAD 3D・2D」、「DesignX」という3つのソフトを搭載したPCが用意され、参加者の皆さんはシュルード設計のスタッフの手ほどきを受けながら、実際の手順に沿って壬生寺の本堂のデジタル化に挑みます。

レーザースキャナーで撮影した画像は、「点像データ」といい、レーザーが照射された座標軸などの情報を持った点が何百万個も存在しています。ただし、この状態ではデータが重く扱いづらいため、まずは「Clear points」を用いて点群の処理を行うことで軽量化を図り、そのデータを今度は「IRONCAD 3D・2D」、「DesignX」で3Dの形状へと加工していきます。

PCに向き合うこと2時間。色彩までを表現した完全3D化までには至りませんでしたが、皆さん技術の勘所は掴めた様子。スタッフに「実際の業務で行うなら何時間かかりますか?」「ソフトの習熟にかかる時間は?」など、実践的な質問も飛び出る画期的な体験会となりました。

 

貫主のお言葉:「伝統の継承とデジタル化は共存できる」

今回の体験を受け入れてくださった、貫主の松浦 俊昭さんはこう語ります。

「伝統というのは、ただ単にそのままの技術を残していくことではありません。伝統建築も建てられた時点ではその当時の先端技術を使っていたわけですから、必要に応じて、現代の技術を取り入れるのは自然なこと。これからこうした流れはもっと加速していくでしょうね」

一方、今回の企画に快く協力してくださった、シュルード設計の安達 基朗社長もリバースエンジニアリングの未来について語ってくださいました。

「今回学んでいただいた3次元計測から復元するという技術は、今後さらに必要とされていく技術です。特にこの技術は、デジタル化した当時の様子を2Dよりもより正確に、動きを伴う形で後世に残していけますので、補修や再建築だけでなく、研究資料などとしても役立ちます。今回の体験で、寺院という歴史ある建物を対象とすることができたことで、皆さんが技術の習得だけでなく、“この技術がどうのように応用できるか”“新たな使い方はないか”という考える姿勢を身につける機会になれば嬉しいですね」。

京デジぷらっと事務局より:今回の講座は壬生寺貫主松浦様、株式会社シュルード設計様、京都府関係各署のご協力とご縁から実現したとても貴重な機会となりました。
ご協力いただきました皆様に多大なる感謝を申し上げますとともに、ご参加いただいた皆様の今後の就職活動の一助となりますことをお祈りいたします。
また次回のご縁を結べるようスタッフ一同、努力してまいります!